ユーザーのお声
Magritek社卓上型NMR Spinsolveユーザーのお声 02
株式会社四国核酸化学
株式会社四国核酸化学は、香川県高松市に本社を置き、2016年2月神戸市ポートアイランドの医療産業クラスター地区に研究拠点を開設しました。
核酸医薬はDNAやRNAを構成するオリゴヌクレオチドを用いた医薬品で、遺伝情報から創薬開発が直結する唯一の治療薬です。抗体医薬に次ぐ新たな医薬品として注目されており、四国核酸化学は新しい方法で、その原薬製造を達成するため努力されています。
今回は四国核酸化学株式会社 兵藤守研究員を訪ねてお話を聴かせて頂きました。
2016年6月にSpinsolve 60MHz 19F1H31Pを導入されました。
兵藤研究員の略歴
- 2007~2009年 Harvard Medical School (海外特別研究員)
- 2009~2014年 北海道大学薬学研究科(特任助教)
- 2014~2015年 愛知工業大学工学部非常勤講師
- 2016年~現在 現職
- ——Spinsolve導入を決められた理由は何でしょうか。
- 私たちの仕事は基本的には有機化学でNMR装置は必須です。特にヌクレオチドのリン酸部を中心に鎖長伸長反応を行いますが、それは 1H NMR では観測し難いので、31P NMR が測定可能な NMR装置であることが重要な条件でした。また、私たちは新設のベンチャー企業で、お金、場所、人員も少なかったので専用の部屋やメンテナンスが必要な高周波数のNMRは難しいということがありました。その点、メンテナンスフリーで場所も取らず31Pが測定できる Spinsolve が良いということになりました。
- ——導入後のSpinsolveをどのように活用されているでしょうか。
- 基本的には反応生成物の解析に用いています。弊社ではホスホロアミダイト、H-ホスホネートなどの化合物を合成中間体として使用しております。これらの化合物は、31P NMR において特徴的なシグナルを示すことが知られており、これを測定することにより純度や副生成物の混入などを概算することができます。また、反応解析にも用いておりまして、NMR管の中で反応を行いながら 31P NMR を測定することにより想定される反応中間体が形成されているか、またその量や消費速度なども見積もることができます。
- ——卓上型NMR Spinsolveにこれから期待することは何でしょうか。
- 現在 1H を 60 MHz, 31P をおよそ 24 MHz で測定していることになります。一般的な NMR と比較すると十分なシグナルを得るためには必要なサンプル量が多かったり、測定回数を増やすなどの場合があります。原理的な問題もありますので難しいかもしれませんが、観測周波数が上がるなどの方法で高感度化することができれば、より有用になると思います。
- ——不具合や故障の経験はあったでしょうか。
- これまでおよそ2年使用していますが、故障したことはないです。基本的にいつも機械の方は電源が入った状態になっており、停電時のみ落としますが、この際の復旧でも半日程度待つことでランプが緑色になり、測定できる状態になりました。納入時に温度に敏感ということは伺いました。実験室はいつも定温にしておりますので、温度変化はあまりないとは思われますが、温度が原因で使用できないということも無かったです。
- ——メーカーや代理店にご要望はありましたらどうぞお願いします。
- ソフトウエア―のUpdateがある場合はユーザーに連絡を頂けば有難いです。装置は支障なく使用していますが、もし故障があった際の対応を迅速にお願い致します。